3度の離婚を経ても愛を求めたい――“恋を止められない”葛藤

テレフォン人生相談

👤 相談者プロフィール

年齢:51歳
性別:女性
家族構成:元夫との間に3人の子ども(長男:30歳、次子:29歳(娘)、長女:9歳)/現在は9歳の娘と同居。上の2人は独立済み。
職業/生活状況:介護職として就労。日常的に職場で対人関係を築いている。
特記事項:バツ3(離婚歴3回)。幼少期に家庭内虐待を受けた「機能不全家庭」の出身。

🗣️ 相談内容

相談者は「別れてすぐに他の人を好きになってしまう」「ひとりでいるのが耐えられない」と感じる長年の悩みを持つ。直近では2ヶ月前に別れ、その前は2年8ヶ月の交際が破綻した経緯がある。破綻の主な原因は相手の不誠実さや自分の酒癖による衝突であり、それを機に断酒を決意。現在は飲酒をやめ、依存回復のための活動にも参加している。

娘から「恋愛依存なのでは」「精神鑑定を受けてほしい」と指摘され、実際に受診したが鑑定上は問題なし。ただし自身で「恋愛に流されやすい」「安定した相手を直感で選べない」と分析している。今回マッチングアプリで一度会った男性に強く惹かれているが、娘への影響を気にし、交際の有無や活動は隠している。

⚖️ 専門家の回答(精神科医:高橋龍太郎先生)

  • 世代間連鎖(ACE)の視点 — 幼少期に十分な愛情を得られなかった経験が「不安定な愛情」を基準にしてしまい、刺激的・不安定な関係に惹かれやすい傾向を生む。
  • 出会いの場と目的の不一致 — マッチングアプリは匿名性や流動性が高く、「永続的な安定」を本気で探す場としては向かない。職場や長年の交友関係、信頼できる人からの紹介など「安定した枠組み」での出会いを検討することを勧める。
  • 診断よりも人間性の肯定 — 先生は相談者の明るさやエネルギーを評価し、「恋愛依存」と断じるより「愛情深く人とつながりたい人」であると受け止める。恋愛が短期間で終わることを否定的に捉えず、3〜5年の関係でも人生として価値があると示唆。
  • 実践的注意点 — 断酒や依存対策に取り組んでいる点は非常に良い。9歳の子への配慮(放ったらかしに見えないようにする)、不安定な男性に対する金銭的・感情的なリスク管理を行うことを促す。
  • 自己肯定の重要性と家族関係 — 娘の批判に振り回されすぎないこと。自身を「愛が多い人」として肯定し、その強みを活かして生きることをすすめる。

あなたは「愛情深く、人とつながりたい人」——まずはその自分を否定せず、出会いの場と方法を変えながら、子どもへの配慮とリスク管理を併せて進めていきましょう。

💬 感想

相談者の語りからは、傷ついた過去を抱えつつもなお「人とつながりたい」「誰かと一緒にいること」で安心を得たいという純粋な欲求が伝わってきます。断酒という行動変容を成し遂げ、精神科の診断も経ている点から、本人の自己改善意欲は高く、行動力もあります。

構造的に見ると、このケースは個人の問題で片付けられない「世代間連鎖(トラウマの継承)」の典型です。幼少期に十分な安心を得られなかったために、大人になっても「不安定な愛情」を直感的に選びがちになる。社会的な出会いの場(マッチングアプリ)や支援ネットワークのあり方も、個人の選択に影響を与えます。医療的診断は「問題なし」でも、心理的パターンの理解と安全な実践(ゆっくり知る、紹介で出会う、子どもへの説明や時間配分を明確にする)は重要です。

あなたは「愛を求めること」をどう肯定し、同時に自分や家族を守るためにどんな工夫ができると思いますか?

📘 まとめ

  • 幼少期の愛情欠如は恋愛選択に無自覚な影響を与える(世代間連鎖)。
  • 出会いの「場」と「目的」を合わせること(安定を求めるなら安定した出会いの枠組みを選ぶ)。
  • 診断が「問題なし」でも、行動パターン(衝動的な交際開始・人間依存)は変えていける。断酒などの成功は重要な自信の源になる。
  • 子どもへの配慮(放置感を与えない)、金銭的・感情的リスク管理、周囲の信頼できる人からの紹介を活用する実践が有効。
  • 自己肯定(「愛情深い人である」ことの肯定)は回復と選択の力になる。

2025年10月16日「テレホン人生相談」より

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