👤 相談者プロフィール
年齢:36歳
性別:男性
家族構成:父(66)、母(70/両親は1年前に離婚)、本人は一人っ子
職業/生活状況:音楽関係の仕事。国内外を旅することが多く、ネパールへ渡航予定。
特記事項:同性のパートナーとの交際経験あり。最近の短期交際(1ヶ月)で深く傷つき、日常生活に支障が出ている。適応障害の自己診断。
🗣️ 相談内容
1年前に別れたパートナーが忘れられず、以後ほぼ四六時中そのことを考えてしまう。交際は1ヶ月だったが、本人にとっては初めて「本当に好きになった」相手だった。
半年後に再接触して毎週会うようになり、キスやハグもあったが再度告白すると「恋愛感情はない」と言われた。彼は以前「誰に対しても恋愛感情や性愛感情を抱かない」と言っており、彼は誰のものにもならないとある種の救いを感じていた。
しかしその後、相談者がネパール旅行をする前にもう一度連絡したら、彼には新しいパートナーができ、性愛も含めた関係を築いていると知って完全に打ちのめされる。
朝から夜まで相手のことを考えてしまい、仕事や日常に集中できず「自分の人生を生きられていない」と感じている。
⚖️ 専門家の回答(精神科医:和田秀樹)
恋愛や別れに対して人は思い通りにならないことが多く、重要なのは「どう切り抜けるか」。
適応障害の可能性がある状態で、治療の方向は「状況を変える」か「見方を変える」かのどちらか。
過去の恋愛に囚われるより、次の可能性に目を向けることが大切。
旅行や新しい経験を通して気持ちを切り替え、自分に合う新しいパートナーや環境を見つけることができる。
「過去の恋に囚われず、自分の人生を主体的に生きることが回復の鍵」
💬 感想
相談者の話からは静かな切なさと強い執着が伝わってくる。1ヶ月という短さにもかかわらず、初めて深く震えた恋であったため喪失感が大きい。相手のアイデンティティが流動的であることが、相談者の心を翻弄させた。
ここには個人的な恋の悲哀だけでなく、「自己の中心(アイデンティティ)を他者に預けてしまう構造」がある。依存的な愛着は自己効力感を下げ、回復を遅らせる。環境変化や新たな社会的接点(旅、コミュニティ、出会い)は構造的に有効な介入となりうる。
あなたなら、どんな方法で「自分を取り戻す」だろうか?
📘 まとめ
- 執着は自己肯定感の欠如の裏返しであり、まずは自分の主導権を取り戻すことが重要。
- 「状況を変える(新しい出会いや環境)」か「見方を変える(認知の再構築)」のどちらかが回復につながる。
- 旅行や自然、異文化体験は視野を広げ、心の再起動に有効な手段になり得る。
2025年10月14日「テレホン人生相談」より
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