👤 相談者プロフィール
年齢:36歳
性別:女性
家族構成:夫(年齢不明)
職業/生活状況:既婚。日本在住。夫・義両親と良好な関係を築いている。
特記事項:中国出身。幼少期に実母を亡くし、祖母に育てられた後、13歳で日本に移住。実父の再婚相手(日本人)との関係に長年の確執あり。
🗣️ 相談内容
36歳の女性は、中国で生まれ、母を幼くして亡くした。13歳のとき、留学していた父に呼ばれて日本へ渡り、日本人の継母のもとで暮らすことになる。
しかし、継母はマナーやしつけに厳しく、自分の価値観を強く押しつけてくるタイプ。文化も言葉も違う中で、少女は「これはダメ、あれもダメ」と否定され続け、ついに高校2年で家を出た。
その後、結婚し、夫とその家族から深い愛情を受けたことで、「親とも良い関係を築きたい」という思いが再び芽生える。
だが、父への“二つの許せない言葉”が心の中で刺さったままだ。
一つは、父が実母の悪口を自分に言ったこと。もう一つは、祖父母の愛を疑わせるような発言をしたこと。
「母や祖父母を悪く言う父を許せない。でも、老いた親を見捨てることもできない。」
そうした板挟みの中で、介護の現実が近づきつつある今、どう向き合えばよいのか――彼女は深く悩み、電話をかけた。
⚖️ 専門家の回答(三井ゆきこ・作家/翻訳家)
「あなたが苦しいのは、いつまでも“子ども”の立場で親を見ているからです。」
と三井ゆきこ先生は切り出した。
父が母を悪く言ったとき、悲しむのではなく、「母のほうが人間的に上だった」と冷静に受け止めればよかったのだという。
つまり、「親を見下す」のでなく、「親より成熟した存在として見る」ことが、心を守る第一歩なのだ。
祖父母へのお金の話も、「愛情と金銭は別問題」と整理すべきだと指摘。
「あなたは今、夫と家族に愛され、幸せな生活を築いている。もう子どもではない。強く、かばう側に立ちなさい。」
介護のような“まだ起きていない未来”を恐れる必要もない、と先生は諭す。
「親が面倒を見てくれと言っているわけではない。今はただ、笑顔で会い、食事して帰ればいい。子どもをやめることです。」
💬 感想
母を亡くし、異国で新しい母に受け入れられなかった少女の孤独。
「許したいのに、まだ痛い」――その複雑な心の奥に、36年分の悲しみが滲む。
だが、先生の言葉に涙をこらえながら「大人になりました」と答えた彼女の声には、解放の響きがあった。
親子の確執は、“愛情の未完了”から生まれる。
彼女は「親に認められたい子ども」であり続けたが、いまや自ら家庭を築き、“与える側”へと成長した。
つまり、赦しとは、相手を変えることではなく、自分の立場を変えることなのだ。
あなたは、いつまで「子ども」のままで親と向き合いますか?――そろそろ、“大人として”親を見る時かもしれません。
📘 まとめ
- 親を理解しようとするより、「親より成熟した存在」として見る視点が大切。
- 過去の言葉を引きずるより、「もう自分のほうが上だ」と自覚する勇気を。
- 未来の介護を恐れるより、今できる「穏やかな関わり方」を選ぶ。
2025年10月8日 テレホン人生相談より
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